ぺんぎん労災組合員の皆さまへ 暑くなる前に確認したい熱中症予防
ぺんぎん労災サポートセンターより、熱中症予防に関するお知らせです。
新聞報道でも、職場における熱中症対策が取り上げられる時期になりました。
ぺんぎん労災本部がある北海道ではまだ本格的な暑さを実感しにくい時期でも、全国的には気温が上がっている地域があります。
熱中症対策は、暑くなる前に確認しておくことが大切です。
本記事の位置づけ
本記事は、熱中症予防のための一般的な注意喚起です。
個別の作業中止判断、医療判断、労災認定の可否を示すものではありません。
現場、発注者、元請、配達アプリ、業務委託先などの安全衛生上のルールがある場合には、それらを確認したうえで、無理のない対応を行ってください。
体調不良を感じた場合には、まず命と健康を守る行動を優先してください。
全国一律のアラートではなく、働き方に応じた確認を
ぺんぎん労災サポートセンターの組合員は全国にいます。
また、働き方もさまざまです。
- 特定フリーランスとして、取材、撮影、講師、イベント対応、訪問業務などを行う方
- フードデリバリー配達員として、屋外で移動しながら稼働する方
- 建設業の一人親方として、現場の安全衛生ルールの中で作業する方
- その他、個人で仕事をする特別加入者の方
地域、職種、作業場所、作業時間、発注者や現場のルールによって、熱中症リスクは異なります。
そのため、ぺんぎん労災サポートセンターから全国の組合員に対して、一律に「今日は作業を中止してください」「この時間帯は休憩してください」といった熱中症アラートを出すことは現実的ではありません。
だからこそ、暑くなる前に、自分の働き方に合わせて確認しておくことが大切です。
ここでいう「マイルール」とは、現場や発注者のルールを上書きするものではありません。
暑い日の仕事で無理をしないために、体調確認、休憩、冷却、連絡、受診の流れを、自分の働き方に合わせて確認しておくことです。
厚生労働省のガイドラインでも示されています
厚生労働省の「職場における熱中症防止のためのガイドライン」では、熱中症のおそれのある全ての作業を対象とし、事業者や作業従事者だけでなく、注文者、作業場所管理事業者、労働者と異なる場所で就業する個人事業者等も、同ガイドラインを参考に熱中症防止対策を検討・実施することが望ましいとされています。
同ガイドラインでは、作業従事者についても、自らの作業環境等における熱中症リスクについて危険予知を行い、可能な範囲でリスク低減に努めることが求められています。
また、WBGT値が28度以上、または気温31度以上の場所で、継続して1時間以上または1日4時間を超えて行われることが見込まれる作業については、報告体制の整備、作業からの離脱、身体冷却、医師の診察、緊急連絡先などの手順を定め、周知することが求められています。
熱中症対策は、「水分を取りましょう」という注意だけで終わるものではありません。
- どのような作業で熱中症リスクが高まるのか
- どこで休憩するのか
- 誰に体調不良を伝えるのか
- どの段階で作業から離れるのか
- どの段階で受診するの
こうした流れを、暑くなる前に確認しておくことが重要です。
働き方ごとの確認ポイント
(1)特定フリーランスの方
特定フリーランスの方は、業務内容や作業場所が多様です。
自宅や事務所での作業であっても、室温や湿度によっては熱中症リスクがあります。
また、取材、撮影、講師、イベント対応、訪問業務などでは、移動や屋外対応が発生することもあります。
確認しておきたいことは次のとおりです。
- 作業場所の室温、湿度、空調の状況を確認する
- 屋外での取材、撮影、訪問がある日は、移動経路と休憩場所を確認する
- 長時間の作業や移動がある日は、水分・塩分補給のタイミングを決めておく
- 一人で作業する日は、家族や仕事仲間に予定を共有しておく
- 体調不良時に誰へ連絡するかを決めておく
- 納期やスケジュールに余裕がない場合でも、体調不良時に無理をしない対応を考えておく
(2)フードデリバリー配達員の方
フードデリバリー配達員の方は、屋外で移動しながら稼働する場面が多くあります。
暑さだけでなく、交通安全にも注意が必要です。
確認しておきたいことは次のとおりです。
- 稼働前に気温や暑さ指数を確認する
- 配達エリア内で休憩できる場所を確認しておく
- 水分・塩分を補給できるよう準備しておく
- 体調不良を感じた場合は、無理に稼働を続けない
- 暑さで集中力が落ちていると感じたら、交通事故防止の観点からも休憩する
- 体調不良時に連絡する相手を決めておく
- 一人で稼働する場合は、家族や知人に稼働予定を共有しておく
暑い日でも、「もう1件だけ」と考えてしまうことがあります。
しかし、熱中症と交通事故のリスクは重なることがあります。
無理をしない判断が大切です。
(3)建設業の一人親方の方
建設現場では、熱中症対策が進んでいる現場もあります。
朝礼、KY活動、WBGT値の確認、休憩場所の確保、冷却用品の使用など、現場ごとの安全衛生ルールが定められている場合があります。
建設業の一人親方の方は、まず現場のルールを確認し、それに従うことが重要です。
そのうえで、確認しておきたいことは次のとおりです。
- 現場の熱中症対策、休憩時間、休憩場所を確認する
- WBGT値や気温の確認方法を把握する
- 体調不良を感じた場合に、誰へ申し出るか確認する
- 現場責任者、元請、関係者への連絡方法を確認する
- 単独作業がある場合は、作業予定と連絡先を共有しておく
- 作業前に深部体温上昇や脱水につながる要因がないか確認する
- 現場のルールがある場合は、自己判断だけで無理を続けない
一人親方であっても、現場の安全衛生体制の中で作業する場面があります。
自分だけで抱え込まず、体調不良を早めに伝えることが重要です。
共通して確認したい熱中症予防の行動手順
働き方は違っても、共通して確認しておきたいことがあります。
5月のうちに、次の項目を確認してみてください。
- 作業前に気温や暑さ指数を確認する
- 屋外作業や空調のない場所での作業があるか確認する
- 水分と塩分を取るタイミングを決めておく
- 休憩する場所を先に確認しておく
- 体を冷やす方法を準備しておく
- 体調不良時に連絡する相手を決めておく
- 一人で作業する場合は、予定を家族や仕事仲間に共有しておく
- 体調が悪いと感じたら、作業を止める、または現場や発注者に申し出る
- どの段階で医療機関を受診するか確認しておく
- 症状が重い場合は救急要請をためらわない
大切なのは、体調が悪くなってから考えるのではなく、元気なうちに確認しておくことです。
暑さで判断力が落ちてからでは、冷静な判断が難しくなります。
発注者、元請、注文者の皆さまへ
熱中症予防は、働く本人だけで完結するものではありません。
発注者、元請、注文者の皆さまにもお願いがあります。
暑熱環境下で個人事業者等に業務を依頼する場合には、作業時間、休憩、水分補給、納期、緊急時の連絡体制について、無理のない対応ができるようご配慮ください。
特に、屋外作業、移動を伴う業務、設営、撮影、配送、訪問業務などでは、暑さによって作業効率や安全性が大きく変わります。
安全を軽視した無理な納期や作業継続は、熱中症リスクを高めるおそれがあります。
働く人が体調不良を申し出やすい環境づくりも、熱中症予防の大切な要素です。
厚生労働省のヒアリングでも熱中症対策について質問がありました
ぺんぎん労災サポートセンターは、2025年、厚生労働省の労働政策審議会労災保険部会において、特定フリーランス事業の特別加入団体としてヒアリングを受けています。
その中でも、熱中症対策について質問がありました。
当センターからは、ホームページで熱中症の実践ポイントを案内したこと、相談対応などの際に個別にアナウンスしていることを説明しています。
熱中症予防に関する情報発信は、当センターの重要な取り組みです。
熱中症が疑われるときは、命と健康を最優先に
仕事中に熱中症が疑われる症状が出た場合は、無理をしないでください。
まずは、命と健康を守る行動を優先してください。
- 作業を止める、または現場や発注者に申し出る
- 涼しい場所に移動する
- 身体を冷やす
- 水分を取れる状態であれば補給する
- 症状が重い場合は救急要請をためらわない
- 必要に応じて医療機関を受診する
熱中症は、気合いで乗り切るものではありません。
仕事中の熱中症と労災認定の可能性
仕事中に発症した熱中症については、労災認定の対象となる可能性があります。
ただし、すべての熱中症が労災として認定されるわけではありません。
業務内容、作業場所、作業時間、暑さの状況、発症までの経緯、医師の診断などを踏まえて、個別に判断されます。
ぺんぎん労災の組合員が、対象業務に従事している中で熱中症を発症した場合には、労災請求を検討する余地があります。
そのためにも、次のような情報を分かる範囲で記録しておくことをおすすめします。
- いつ発症したのか
- どこで作業していたのか
- どのような作業をしていたのか
- 何時から何時まで作業していたのか
- 気温や暑さの状況はどうだったのか
- どのような症状が出たのか
- どこの医療機関を受診したのか
- 医師からどのような説明を受けたのか
まずは診察。
そのうえで、分かる範囲で状況を残しておく。
ぺんぎん労災の組合員の方は、組合員証に記載された連絡先へご相談ください。
最後に
労災保険は、災害が起きた後の大切な備えです。
しかし、ぺんぎん労災サポートセンターが一番大切にしたいのは、そもそも災害を起こさないことです。
特定フリーランス、フードデリバリー配達員、建設業の一人親方など、特別加入者の働き方は多様です。
だからこそ、現場や発注者のルールを確認しながら、自分の働き方に合った熱中症予防の行動手順を確認しておくことが大切です。
5月のうちに、暑い日の働き方を一度確認してみてください。
今年の夏も、ご安全にお過ごしください。